小説|ハードボイルドなライトノベル COP CRAFT コップクラフト(1)
明けましておめでとうございます。片倉です。
持病が悪化したのでしばしの休職と相成りまして、これ幸いとばかりに積んだ本を読み漁っています。
そしてブログを書いています。
なんだか療養になっていない気もします。
さておき、早速読んだ本の感想をば。
COP CRAFT (1)
あるとき異世界に通じるゲートが開き――
と、冒頭の一文だけで「あー、ここんとこ少々食傷ぎみな、お決まりのアレ系ファンタジーか」と思いきや、内容は血と汗と硝煙の匂いが行間から立ちこめる、ハードボイルドな刑事物。
異種族との交雑をきっかけとして発生した様々な犯罪の捜査を担当する『特別風紀班』の刑事、ケイ・マトバと、ゲートの外側から来訪した異世界の騎士、ティラナ・エクセディリカとの凸凹コンビによるファンタジィ・サスペンス。
二人は『妖精』を原料として精製される麻薬の取引を追う。
ケイは無論、刑事として。
ティラナは誘拐された友人の『妖精』を保護するために。
とまあ、このへんはライトノベルによくある設定です。
妖精を原料とする麻薬という時点でライトではない気もしますが。
足を使った地道な捜査をはじめとして、情報屋との裏取引、ネットを活用した素早い情報収集、と読んでいて飽きがこない捜査の手管も見所のひとつ。
劇中、ぶっきらぼうで口の悪いケイは、生真面目で儀礼的なティラナとしばしば衝突するが、やがてお互いの強さを認めていく。
といった筋立てはハードボイルドな刑事物といった感じです。
ライトノベル要素とハードボイルド要素がうまくミックスされていて、よくできているなあと感心して読んでいました。
後書きで「やられたわクソが」と思わずKindle Fireを壁に投げつけたくなったのも良い思い出。
残りの四冊も早々に読んでしまいたいところですね。楽しみ。
欲を言うならば、それぞれの登場人物についてもっと掘り下げてほしかったのですが、海外ドラマを彷彿とさせる映像的な作品ということもあって、切り捨てたのかもしれませんね。内面を掘り下げると往々にしてテンポが悪くなりますし。
本来であれば書き手か書きたいであろうところを必要に応じて押さえるというのもまた技術。
ライトノベルでハードな作風、というものが好き(具体的にはダブルブリッドとかブラックロッドとか)な方には是非ともお薦めしたい本です。
あと、強い女の子が好きなあなたにも是非お薦めしたい本です。
Kindleでは1~5までが読めるようです。
似たテイストの小説だと『風に乗りて歩むもの』も、ライトノベルでハードボイルドな刑事物をやっています。こちらもお薦めです。
お薦めなんですが、Kindle化はされていないようです…
紀伊國屋書店の
Kinoppyなら読めたはずなので、そちらからどうぞ。
それでは、皆さんも健康にお気をつけて、どうかよい一年をお過ごしください。